ミシェル・フーコーの代表作の一つ『監獄の誕生 監視と処罰』(1975年、田村淑氏訳、新潮社、1977年、以下『監視と処罰』と略記)を読んだ。『監視と処罰』を読むのは今回が初めてかとおもっていたら、巻末に1992年読了と自分の書き込みがあった。なので今回が2読目ということになるが、どうも以前読んだ印象が薄い。内容をうまく把握しそこねていたのだろう。 社会による監視と処罰がテーマの『監獄の誕生』 はじめに本書のタイトルについて書いておく。本書の仏語原題は『Surveiller et Punir――Naissance de la prison』で、巻末の覚書で訳者・田村氏は、これを『監視すること、お…