大渓木藝生態博物館は、台湾の木工芸産業の歴史と文化を保存・継承するため、街なかに残る歴史的建造物や街並み全体を博物館と位置づけたものである。そして、この地の日本式官舎群や公共施設が段階的にリノベーションされ、2015年から順次オープンしている。 大渓は、清朝時代から山岳地帯で伐採された木材を河川輸送する水運の拠点として発展してきた。日本統治時代にもその役割を維持し、木工芸産業が発展を遂げた。また、日本による灌漑施設の建設も進み、大渓には多くの日本人が暮らしていた。戦後、蒋介石が公会堂を別荘として利用するなど、台湾の近現代史を象徴する地でもある。木工芸産業で栄えた大渓であったが、鉄道の普及や水運…