しかしまた気がかりでならないことであろうし、 つれづれを慰めるものを失っては、自分は何によって日を送ろう、 姫君がいるためにたまさかに訪ねてくれる源氏が、 立ち寄ってくれることもなくなるのではないかとも煩悶《はんもん》されて、 結局は自身の薄倖《はっこう》を悲しむ明石であった。 尼君は思慮のある女であったから、 「あなたが姫君を手放すまいとするのはまちがっている。 ここにおいでにならなくなることは、どんなに苦しいことかはしれないけれど、 あなたは母として姫君の最も幸福になることを考えなければならない。 姫君を愛しないでおっしゃることでこれはありませんよ。 あちらの奥様を信頼してお渡しなさいよ。…