今回はネタバレ大前提で『宝石の国』13巻の感想などをお送りいたします。 まず、私が第十三巻を読んだ第一印象は「美しい絶望」だった。 金剛の兄機は言う。「無」へ行った者たちは溶け合い、早すぎた進化の傷を癒しているだけなのだと。「無」へ行った者たちは、ちがう宇宙の素材になるらしい。いつか他の物になり、また意識を持つのかもしれない。だとしたらそれは、はたして月人の望んだ「安寧の無」だろうか? もう二度と意識を持たないこと。けっして何者にもならないことこそ彼らの願いだ。しかし、はじめから完全に機械である兄機には、月人の切なる願いがわかっていない。いつか生まれ変わることが、再構築されることが、さも希望で…