自分が最も影響を受けた経済学者について… それはスミスでもケインズでもない。 「知る人ぞ知る」としての、かなりマニアック寄りの存在だ。 昭和期に活躍した経済評論家・経済史家の高橋亀吉(1891-1977)である。 日本史上では、昭和の「金解禁論争」で言及される一方、現在でも近代日本経済史においては、高橋の『大正昭和財界変動史』は必須の史料として位置付けられると見ていいだろう。 高橋は通常、「経済学者」として言及されることはほぼない。 (英語にすれば同じだが、日本では「エコノミスト」と紹介されるのが常である) 理論経済学の系譜にはないからで、彼の経済評論は、一般に分かりやすい一方で、数理モデルや…