宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年 むかし、北方の「大だこ」に、やきちという百姓がいたんだと。大だこには家が一軒だったから、「大だこやきち」でとおしていた。 「大だこやきち」のうしろに「姉とり沼」という沼があって、「大だこやきち」はそこで魚釣りして、食う以外のものは町へいって売ったりしていた。 いつものように沼で魚釣りをしていると、空が急に曇ってきて雨が降ってきそうなので沼の松島という島のお堂でやすむことにした。お堂の中で急に眠気が襲ってきて、休んでいると、お堂に祭られている弁天様があらわれ、「やきち、つかれているとこもうしわけねっども、妹のところへ、はた織る…