------講義録始め------ 明治政府は、近代国家あるいは中央集権国家の樹立を目指し、当時の欧米諸国に倣った法制度を導入することにしました。そして、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法という、いわゆる六法を中心に法律の整備に着手しました。民法は1890年(明治23年)に一旦制定されましたが、その後に勃発した、いわゆる「法典論争」(あるいは「民法典論争」とも言います)を受けて修正されることになりました。そして、修正を経て、8年後の1898年(明治31年)に施行されました。以下では、この1898年に施行された民法を「明治民法」と呼ぶことにします。 明治民法の家族に関する制度は「家制…