戦国時代から江戸時代初期にかけて、数多くの武将が日本の歴史を彩りましたが、その中でもひときわ異彩を放つ人物が伊達政宗です。「独眼竜(どくがんりゅう)」の異名で知られる彼は、その鮮やかな兜や眼帯姿で現代でも多くの人々に親しまれています。しかし、政宗の魅力は見た目だけではありません。巧みな政治力と戦略、そして未来を見据えた行動力を備えた、まさに“先見の明”を持つ武将だったのです。 1.幼少期と失明の苦悩 伊達政宗は1567年、出羽国(現在の山形県)米沢に生まれました。幼名は梵天丸(ぼんてんまる)。幼い頃、天然痘を患い、右目を失明してしまいます。この障害をきっかけに、周囲から疎外されることもあったと…