尋ねても われこそ訪《と》はめ 道もなく 深き蓬の もとの心を 末摘花の誠実で純粋な心に打たれた源氏は 蓬の露に濡れながら姫を訪ねる (by 源氏の君) 〜誰も訪ねませんが わたしこそは訪問しましょう 道もない くらい深く茂った蓬の宿の 姫君の変わらないお心を 【第15帖 蓬生 よもぎう】 「とても中をお歩きになれないほどの露でございます。 蓬《よもぎ》を少し払わせましてから おいでになりましたら」 この惟光《これみつ》の言葉を聞いて、 源氏は、 尋ねても われこそ訪《と》はめ 道もなく 深き蓬の もとの心を」 と口ずさんだが、 やはり車からすぐに下《お》りてしまった。 惟光は草の露を馬の鞭《…