【目次】 十代の家持の歌 大人になった家持の歌 手に巻いた玉 【意訳ではない別の何か】 十代の家持の歌 万葉集に出てくる大伴家持の最初の歌は、正妻となった大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)に贈った恋の歌である。 朝に日に 見まく欲りする その玉を いかにせばかも 手ゆ離れずあらむ (巻三 403) あさにけに みまくほりする そのたまを いかにせばかも てゆかれずあらむ 【普通の意訳】 朝も昼もずっと見ていたいと思うほど美しいその玉を、どうしたら僕の手から離れないようにできるかな。 この歌は、家持の叔母である大伴坂上郎女が、親族と宴会を開いたときに詠んだ歌(巻三 401)の少し…