訓読 >>> 656我(わ)れのみぞ君には恋ふる我(わ)が背子(せこ)が恋ふといふことは言(こと)のなぐさぞ657思はじと言ひてしものをはねず色のうつろひやすき我(あ)が心かも658思へども験(しるし)もなしと知るものを何かここだく我(あ)が恋ひ渡る 要旨 >>> 〈656〉恋しいと思っているのは私ばかり。あなたが恋しいと言うのは口先ばかりです。 〈657〉思うまいと口に出して言ったのに、はねずの花の色のように変わりやすい私の心です。 〈658〉いくら恋しく思っても、何の甲斐もないと知っているのに、どうしてこんなに私はずっと恋し続けているのでしょう。 鑑賞 >>> ここの歌は、「大伴坂上郎女(…