訓読 >>> 760うち渡す竹田(たけだ)の原に鳴く鶴(たづ)の間(ま)なく時なしわが恋ふらくは 761早川(はやかは)の瀬に居(ゐ)る鳥のよしをなみ思ひてありし我(あ)が子はもあはれ 要旨 >>> 〈760〉見渡す限りの竹田の原で鳴く鶴のように、私は絶え間もなくいつもあなたのことを気に懸けています。 〈761〉流れの速い川瀬にいる鳥のように、頼りどころがなくて心細げにしていたわが子が心配です。 鑑賞 >>> 「大伴坂上郎女、竹田の庄より女子(むすめ)大嬢に贈れる歌」。「竹田」は、橿原市にある耳成山の東北のあたりの地で、大伴氏の荘園がありました。何かの用事で、娘の大嬢を置いて出かけてきたものと…