昭和9年 島津保次郎監督 「兄さん」って妹からみた兄さんか何かと思いきや、長谷川一夫(当時は林長二郎)からみた義理の兄 河村黎吉のことだったんだ!その意外さも嬉し。 腹違いの兄弟の物語なんだけどのち添えの母親が夫の先妻との間の息子(河村黎吉)に気兼ねして血を分けた連れ子(長谷川一夫)に厳しくする、といった塩梅で、生さぬ仲をいじめるような俗っぽさがなく良い。「仮名手本忠臣蔵」に出てくる大星力也(大石主税)のフィアンセ小浪の義理の母戸無瀬*1のような価値観。それで長谷川一夫が家に居づらく外で放蕩気味になるのだが、尻ぬぐいをする河村黎吉がいい味で。深みあり。 田中絹代の衣装もモダンで素敵。タクシー会…