怪談 ~消える女~ 自宅の最寄駅近くにある居酒屋でバイトを始めることにした大学生の智生。そのバイト初日の帰り道でのことだった。バイトが終わって店を出たのは23時、智生は自宅に向けて一人歩き始めた。自宅までは徒歩で15分ほどの距離だ。自宅近くには片側2車線の大きな道路がある。昼間はわりと交通量の多い道路だが、夜になると交通量は減って車の通行はほとんどない。自宅に帰るためにはその道路を渡る必要があった。智生が横断歩道まで来るとちょうど歩行者側の信号が赤に変わったために立ち止まった。バイト初日で緊張もあり疲れていた智生は、車の通りがまったくない道を何を見るでもなくただ眺めていた。すると100mほど離…