忍術己来也:白井喬二 1922年(大11)1月~、雑誌「人情倶楽部」連載。 1926年(大15)衆文社刊。 1970年(昭45)学芸書林、定本白井喬二全集・第13巻所収。 まったく人を食った書きぶりだった。一見通俗小説と見せかけながら、凡人たちの理解力や知識に到底及ばぬ古文書や漢籍の世界、果ては中国古代の故事まで並べ立て、勝手にどんどん自分の話を進めていくというスタイル。衒学的というか擬古的というのか、恐らくその大半が検証不能なでっち上げだったかもしれない。 忍術己来也:白井喬二、御正伸・画 盗賊の巨魁たる己来也(こらいや)はその忍術を武器に江戸の大名や旗本の屋敷を襲って、金銀財宝をいとも容易…