一条真也です。たった一字に深い意味を秘めている文字は、世界でも漢字だけです。そこには、人のこころを豊かにする言霊が宿っています。その意味を知れば、さらに、こころは豊かになるでしょう。今回の「こころの一字」は、「忠」です。 「忠」とは、その字が「心」と「中」から成るように心の中心、つまり真心や誠意のことです。わが国の江戸時代において、忠とは、あくまで自分の仕えている殿様に対して真心を尽くすことでした。「忠臣蔵」にあるように、わが殿様を侮辱する他の藩の人間がいるならば、同じ日本人であっても、この忠という名のもとに殺してもよかったのです。しかし今でも「忠臣蔵」の人気は衰えないとはいえ、内蔵助の行為は…