「気に入らぬ風もあろうに柳かな」仙厓。仙厓和尚は、禅宗の高僧。私の好きな一句。 一方、「ゆつくりと時計のうてる柳かな」万太郎。こっちは、悠久の時の流れを感じてこれまた好き。 「柳」は春の季語だが、季節に関係なく心を打つ。 柳はゆらりと風をやり過ごして折れない。底知れぬ生命力を秘めている。そこが万人に好まれる要因かもしれない。 【書】『おくのほそ道』 98(かゞの国7)(No.1,956) 「大聖持の城外、全昌寺といふ寺にとまる。猶、加賀の地也。曾良も前の夜此寺に泊て、 終霄秋風聞やうらの山 と残す。一夜の隔、千里に同じ。吾も秋風を聞て衆寮に臥ば、朝ものゝ空近う、読経声すむまゝに、鍾板鳴て、食堂…