翌日また源氏は書いた。 代筆のお返事などは必要がありません。と書いて、 いぶせくも 心に物を 思ふかな やよやいかにと 問ふ人もなみ 言うことを許されないのですから。 今度のは柔らかい薄様《うすよう》へはなやかに書いてやった。 若い女がこれを不感覚に見てしまったと思われるのは残念であるが、 その人は尊敬してもつりあわぬ女であることを痛切に覚える自分を、 さも相手らしく認めて手紙の送られることに涙ぐまれて 返事を書く気に娘はならないのを、 入道に責められて、 香のにおいの沁《し》んだ紫の紙に、 字を濃く淡《うす》くして紛らすようにして娘は書いた。 🪷🎼優しく、揺れる… written by 蒲鉾…