これまでの人生で何度か、明日死ぬ、という夢を見たことがある。この場合の夢とは、叶えたい夢ではなくて、寝ているときに勝手に見てしまうほうの夢である。毎回、夢の中でうろたえることはうろたえるのだが、結末は同じ。寝るのだ。ああもう、寝て死にます、という感じでエンディングを迎える。考えてみれば、夢の中で眠るのだから入れ子になっている。起きたと思ってはいるが、今もまだ夢の中なのかも知れない。 どこでも寝られる特技。 日本政府による行動制限が緩和されたニュースをテレビで観ていたときのこと。国際空港で、これから出発しようとしている男性へのインタビューが流れた。その男性はこのように答えていた。 「私は癌を患っ…