ジョゼフィン・テイ(Josephine Tey)作の長編歴史ミステリ小説。 The Daughter of Time. 1951年発表。ハヤカワミステリ文庫に小泉喜美子による邦訳がある。 ヨーク王朝第2代の少年王エドワード5世が叔父グロスター公リチャードによってロンドンに監禁され、そのまま行方知れずになった歴史上の事件について、現代に生きる若いふたりが史料をさぐってゆきながら、隠された歴史の真実を暴き出す。
はじめに 薔薇戦争。知っての通り、百年戦争の後にイングランドで起きた、王位継承を巡った内乱である。名前の格好良さから印象に残る単語ではあるが、恥ずかしながら、詳細はいまいち覚えていなかった。 ヨーク家とランカスター家の争いであり、最終的にヘンリー7世が勝利を収め、テューダー朝を開いた。受験において覚えておくべきはせいぜいこれくらいで、細かい部分は知らずとも大きな失点には繋がらない小さな単元。 しかし、覚え切れていなかったのは何もこれだけが理由ではない。手元に教科書がないので確証はないが、単純に教科書の説明が分かり辛かったか、あるいは記述が少なかったような気がする。 感覚的に分かり辛いのは、ヨー…
『時の娘』ジョゼフィン・ティ 「で、彼の自白は?」 ベッド・ディテクティヴ式歴史ミステリーの先駆 歴史ミステリーというジャンルがあるが、多くの場合、殺人事件が付随する。その謎を解き明かす過程で、歴史上の謎が解き明かされるというわけだ。井沢元彦や中津文彦の作品はほとんどがそうなっている。しかし、僕はどうもそうした作品が好きになれない。歴史に真正面から取り組んでいるように見えないからだ。 おそらく、僕が最初に読んだ歴史ミステリーが高木彬光氏の『成吉思汗の秘密』だったためだろう。これは純粋に歴史資料のみで歴史上の謎を解き明かすタイプの歴史ミステリーで、このジャンルを代表する作品として知られる。このタ…
【真理は時の娘であり、権威の娘ではない】 哲学者:フランシス・ベーコン【『真理は時の娘』という言葉から始まる「時の娘」】この小説は【歴史ミステリー】の元祖といわれた小説です。そして、作者のジョセフィン・テイは1951年に「時の娘」を発表しましたが、その翌年の1952年、彼女は50歳で亡くなります。なので、もしも彼女が長生きをしたら、この小説の様な【歴史ミステリー】を何作か書いたのかもしれません。 時の娘 作者:ジョセフィン ・テイ,小泉 喜美子 早川書房 Amazon この小説はロンドン警視庁のグラント警部が大怪我をして、入院生活をしている場面から始まります。そして、ある事がきっかけで警部は【…