* 暴力としての思考 彼女はプティット・マドレーヌと呼ばれる小ぶりでふっくらしたお菓子を持ってこさせた。それはホタテ貝の筋の入った殻で型をとったようなかたちをしていた。そこで私は……機械的に、紅茶をひと匙すくって唇に運んだが、その中にマドレーヌのひとかけらが溶けて残っていた。だが、お菓子のかけらのまじったひと匙が口唇に触れたとたん、私は身震いした。なんだろう?私の中でなにか異常なことが起こっているのだ。なぜだが原因のわからない、唐突な、えもいわれぬ歓びが私の中に入り込んできていたのだ。 (マルセル・プルースト『失われた時を求めて』より) 20世紀を代表する哲学者の1人であるジル・ドゥルーズは彼…