行きめぐり つひにすむべき 月影の しばし曇らん 空なながめそ 別れを 悲しんでいる花散里を慰める源氏の君🌔 〜大空を行き巡り、 ついには月が澄んで輝くように、 しばらくの間曇っているからといって 悲観なさらないでください。 【第12帖 須磨 すま】 恋の初めから今日までのことを源氏が言い出して、 感傷的な話の尽きないのであるが、 鶏ももうたびたび鳴いた。 源氏はやはり世間をはばかって、 ここからも早暁に出て行かねばならないのである。 月がすっとはいってしまう時のような気がして女心は悲しかった。 月の光がちょうど花散里の袖の上にさしているのである。 「宿る月さへ濡《ぬ》るる顔なる」 という歌の…