わが国の雇用慣行について、基本的に終身雇用だから、というのはよく聞く話ですね。でも以前から、この終身雇用という日本語が不思議でした。終身雇用といいつつ、定年制があるのですから、終身ではありません。終身の意味は、命を終えるまでの間、すなわち、生涯、一生、終生のことであり、終身独身や終身保険という時にも使われる表現です。 なぜこのような誤用が生じたのか不思議でしたが、先日、岡本大輔「終身雇用制:再考」三田商学研究53巻3号(2010年)に接し、謎が解けました。 岡本氏の論文によると、終身雇用という言葉は、アベグレンの『日本の経営』(原題The Japanese Factory)に出てくる、perm…