硯海に波をおこし、筆端に黒雲をよぶというような、詩的で悠長な態度は、パンクというよりはただの懐古趣味であり、懐古趣味というよりは外連であろう。 *** 気の合わなかったものが時をへてふとなじむことがある。そこまでながくものをつかうことがなくなってきたせいか、たまにこういうことがあるとうれしい。万年筆のはなしである。 とはいえ、ちょっとでもペン先をしまいわすれると、もういけない。とにかく書きつづけないと先方が承知しない。むかし『スピード』という映画があったが、それと似た状況である。とにかくこのひとの気分にあうように書きつづけなければならない。機嫌を損ねるとたちまちインクがとまるのだ。 よって、つ…