「桜の樹の下には死体が埋まってるんだって!」 満開を過ぎた桜を見ながら、若者たちはウキウキと燥いでいた。 深夜1時を回ったこの大きな公園は閑散としていて、昼間の花見客が嘘のようだった。遠くのほうにちらほらと人影が見えるが、きっと彼らも夜の花見に来たのだろう。というか、花見を口実にただ野外飲み会を開きに来たのだろう。このご時世であろうとおかまいなしだ。まあ、僕らには関係ないことだけど。 夜は僕らのものである、という認識はもうすでに古き認識となった。朝も夜もいつだって彼らは活動している。だから夜はみんなのものでいい。夜桜だってみんなのものでいい。 散り落ちてくる桜の花びらをつかむ遊びを幼いころよく…