江戸の料理や菓子をテーマとしたアンソロジー『まんぷく〈料理〉時代小説傑作集』より。 『御薬園同心水上草介』シリーズからの一編。「御薬園」とは恥ずかしながら初めて聞く名称でした。そこでは薬草栽培や生薬の精製などが行われたとのこと。主人公の勤める小石川御薬園は現在植物園となっている実在の場所だそうです。 本筋の人情話にもほっこりさせられましたが、その舞台ならではの草木に関するトリビアが楽しめ新鮮に感じました。 さて、表題である「清正の人参」。今回は人参の話かと思っていたら、その正体、実はセロリ。 何でも加藤清正が豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に「ニンジンの種」だと騙されて持ち帰ったものだとか。本作に書かれ…