死と向き合う

先週11/12から、福岡に住む姉のところへ遊びに行き、ダンナも合流して姉夫婦と湯布院の温泉で１泊したのちに、熊本や佐賀の巨樹に会いに行きつつ、沖縄では愛でることのできない紅葉を満喫し、１７日帰路につく・・・・予定だったが、想定外の出来事が起き、福岡行は取りやめになった。 実際、私のなかでは、2020年からこっち、いつなんどき、”緊急放送・EBS・ディスクロージャー”とやらが起こるかわからない、との思いから、つねに、食料や生活必需品、犬猫たちの餌といったものを備蓄し、内地に行く際は、場合によっては飛行機が飛ばないなんてこともありうる・・・と脳内で想定しているので、福岡行に関しても、（本当に行ける…

新聞で小坂忠（こさかちゅう）さんの訃報を知りました。享年73才。小坂さんはシンガーソングライターとして活躍を始め、やがてクリスチャンになり、ゴスペルシンガーとして活躍されました。ワーシップソングと言われる賛美の歌を作られましたし、CDもずいぶん出されました。神さまを賛美することの大切さを思うようになり、私は今風のワーシップソングに親しみました。神さまを賛美することで信仰は前向きになりました。私の信仰生活に足跡を残してくださった方です。 年をとると自分より若い方の訃報に接するようになります。すると自分はいつ死んでもおかしくないのだと思うようになります。健康なうちはまだ先のことと思ったりしますが、…

晴れ。 湿度が高い。 朝から雲がすごい勢いで成長している。 夢を見た （その１）大きな施設の通路にいる。なんだろうと思ってまわりを見る。 競馬場だった。馬券を買う。（実際にはやったことがない） 切符の自動券売機みたいなやつだった。 昔いた会社の社長がいる。この人は競馬が好きだった。（なぜ競馬をやる人はあんなに血統にくわしいのか） このレースはこの馬をからめて買えば大丈夫とアドバイスされた。いくつか買う。 通路には亡くなった姉もいる。地べたに座って何かやっている。だれか面倒見てくれと思う。父もいるがどこかぼんやりとしている。 壁を登って席に行く。VIP用の席らしい。警備員ににらまれる。私にこの席…

最近、腹の立つ出来事があった。ある知人が、Ｓ氏という多くの著書がある人の話をしはじめた時のことだ。Ｓ氏は整体以外にも武道などいくつかのことを実践し、指導もしている人で、実はある時期、私の師匠と接点があった人である。Ｓさんは彼が関心を持っていることにも詳しく、すごい力のある人だと思っているようだった。 知人は私の師匠の死因ががんであったことは知っていて、「Ｓさんはがんを克服したが、そういうことをどう思うか」と聞いてきた。 私はこの時点でカチン！という音が頭の中で聞こえたが、まあ、「会ったことはあるけど。特には…。」と言った。 そして、がんというのは、科学的な治療をしない状態では、良くも悪くも、大…

南杏子 幻冬舎文庫 大学病院から在宅で最期を迎える患者専門の訪問クリニックに異動する主人公。計6つの話から構成されている。 いわば、延命を中心とする医療現場から、どうやったら問題なく死を迎えることができるか。そのお手伝いとしての医療のあり方。 医療の役割が問われる中で、父の死にも向きあう。この小説の面白い点は死と向き合うなかでの医療のあり方を考えることにある。そのなかで「ケシャンビョウ」というのが、子どもを扱っていて異色。養育者として里親が出てくる。

東京から長崎に引越し3週間が経った 9月は恋人や友達と離れた寂しさを感じる間もなく、師走のようなはやさで過ぎ去っていった。 認知症で入院している父は、数ヶ月ぶりに会ったわたしのことも、家族みんなのことも覚えていた。 久しぶりの面会に行く時、私はいつも気持ちが重たくなってしまう。一番最初に頭に浮かぶのは、「まだ」覚えてくれてるかな ということ。まだ、覚えてくれていて良かった。しかし、確実に父は弱っている。先日面会に行った時、「もうなにもできない」と振り絞った声で言われた時は、胸がぐっと苦しくなって、なんて声をかければいいのか戸惑った。そんな自分にむかついて悔しかった。11月のお父さんの誕生日は一…

朝ドラって人生のドラマだ、とつくづく思う。 2024年度前期連続テレビ小説『虎に翼』が、ついに最終回を迎えた。個人的に久々に「終わらないで」と切に願う作品だった。 何か作品を観たときに、単に「面白い」と思う作品は、有難いことにこの世界に何作とあり、エンタメとして娯楽を享受しているが、「あ、これは私の人生だ」と、自分を物語になぞらえる作品は、そう多くない。私にとって『虎に翼』はそのような作品であった。 半年間も同じ物語、登場人物を追えるという贅沢に代えられるものは、他にないのではないかと思う。半年かけて登場人物の人生と並走するからこそ、自分と物語をより深く重ねることができる。私は、現在のドラマ枠…

れんげ荘物語も第8弾となりました。 どの部分からも読めるのですが順番通りに読んでいなくても、毎回心地よく読み終わるようになっています。 今回はどんなささやかな幸せがあるのでしょうか。 【しあわせの輪】れんげ荘物語：あらすじ 【しあわせの輪】れんげ荘物語：作者群ようこ 【しあわせの輪】れんげ荘物語ネタバレ感想 幸せは人それぞれ 子どもと動物のちから 歳をとると丸くなるといういこと 静かに旅立ちたい 休息は大切なのに 自分に合ったリラックスの仕方 人生はどうなるかわからない 結婚しているから幸せだとは限らない テレビの衝撃映像のこと 死と向き合うということ あなたがやらなくてはならない責任は生きる…

○日曜日の夜、9月22日、自宅 ❖ 聡明のあるべき姿 可謂明也已矣、顔淵六 （子張から聡明さを問われ、水が染み込むような讒言や、身を切るような虚言に騙されない人こそ）聡明といえるだろう。 「聡明を夫子は定義されたが、あくまで『何ごとも過ぎる』子張の為の言葉、教育であり、万人に述べた教えではない、子張の仁だ」 #論語 ○日曜日の夜、自宅 ❖ 令和の論語 「儒学ブログで検索すると、建前、教科書のような綺麗事を述べているブログを散見する」 「美しき綺麗事をいう孔夫子の言葉に鳥肌が立つ、誰だろう、この人は」 「プラスチック製の人の温もりがしない、血の通わない夫子の言葉くらい不気味なものはない、令和版『…

はじめに 古代ローマ帝国の栄華と衰退、そして一人の統治者の内面を鮮やかに描き出す傑作。マルグリット・ユルスナールの『ハドリアヌス帝の回想』は、単なる歴史小説の枠を超え、人間の本質と権力の本質を問い続ける哲学書でもあります。この作品は、2000年近く前の出来事を通して、現代を生きる私たちに深い洞察と新たな視座を与えてくれます。 本書は、ローマ帝国の繁栄期を築いたハドリアヌス帝の生涯を、彼自身の回想という形式で綴った架空の自伝です。しかし、その内容は綿密な歴史研究に基づいており、古代ローマの政治、文化、そして人々の生活を鮮明に描き出しています。同時に、権力者の苦悩、愛と喪失の痛み、そして死と向き合…

ANIMAが100%になりました。 乙女ゲームとしては異色寄りの作品ですが、すごく面白かったので、攻略したルート順に感想を書いていきます。 《》内に書いてあるのは、お話を読んで自分なりに感じたテーマです。 ※本編のネタバレを含みますのでご注意下さい 共通ルート だいたい1話完結で事件を解決していく流れで、chapter4まであります。話の解決が雑なところもありますが、洋ドラっぽいスタイリッシュな演出や、キャラクター同士のドライな掛け合いが見ていて楽しく、あっという間に読んでしまいました。 個別ルートへ入ると、ヒロインの影響でキャラ同士の距離感が縮まっていきますが、このクールな路線で連続ドラマ化…

東京に何かしらの用事で出かける時は、必ず、ピンホールカメラと三脚を持って、用事の前後、歩き回って撮影するようにしている。 ダラダラと歩くのではなく、撮影する意思を持って歩いていると、暑い中、重い荷物を持っていても、あまり疲れを感じない。 ピンホールカメラなので、狙った獲物を撃つ（shoot）ことはできないので、場の空気を取り込むような感覚で、三脚を設置して針穴を開放している。 今のところ、東京の撮影をよく行っている写真家のように、ディティールを切り取るという感覚ではなく、大きな全体と向かい合っているような感覚だ。 古代世界において8年間も、ひたすらゾーン状態で向こう側へ分け入っていたので、東京…

2014年1月20日初版第1刷発行 2014年3月25日2刷発行 帯封「いつか死ぬ、それまで生きる。老いてなお生きる苦しみを、死と向き合う寂しさを、娘に打ち明ける父であります。詩人・伊藤比呂美が、遠距離介護を通し、親の最期に寄り添い切った三年半の記録。」「父の悪いところばかり見えてくる。しかしそれは父の本質ではなく、本質は老いの裏に隠れているのだ。父の本質は、私を可愛がってくれて、自分よりも大切に思ってくれて、私が頼りにもしてきたおとうさんだ。（本文より）」 目次 父の生きる 母が死んで、父が残った 2009年3月～2009年10月 いっぱいいっぱい、みんなみんな 2010年1月～2010年1…

ブログが全然書けない。 飽き性だからなのか、怠け者だからなのか、早くもネタ切れなのか。いや、そんなことはない、書きたいことは山ほどあるよ。書けないのか、書きたくないのか、面倒くさいのか。 いくつか記事を下書きに保存してあるけど、何だろうな、それらを投稿しようという気になれない。どうしてだろう？ そもそも人にあまり自分の本音を話さないし、慣れないことをやり始めたからちょっと疲れたのかもしれない。 自己理解を深めるために、自分自身と向き合うために、自分のグリーフ（母の死）と向き合うためにブログを始めたのに、もしかしてこの方法も合ってないんだろうか。 まぁ、いいや。 慣れないことや今まで向き合うのが…

2023年のNHK大河ドラマ。今さらながらの感想です。何度もドラマ化された「徳川家康」ですから、観る側もだいたいのイメージを固めてしまっている、今さら‘プリンス’とか‘我が君’とか言われても‥というところで乗り切れなかった人も多かったかもしれないですが、私は、新たな家康像としてこういう捉え方もありだと思ったし、それまでの家康のイメージを覆（くつがえ）そうとすることは、大河ドラマの試みとして間違っていないんじゃないか、とも思いました。ただ‥特に序盤のVFXが厚みがなく薄っぺらに見えてしまったのは、ものすごーく残念だった。それだけでドラマ全体の価値をかなり下げてしまったのではないか、と思ってしまう…

はじめに 静寂な夏の日々、刑務所の中で時が止まったかのように流れていく。そんな一見平穏な日常の中に、生と死の重い問いが潜んでいる。丸山健二の「夏の流れ」は、そんな極限的な状況下での人間の心理と存在の意味を鋭く描き出した作品です。 1966年に第23回文学界新人賞を受賞し、翌年には第56回芥川賞も受賞した本作は、日本文学界に新風を巻き起こしました。平凡な家庭を持つ刑務官の日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させながら、死刑執行日に至るまでの両者の心の動きを緊迫感のある会話と硬質な文体で描き出しています。 本記事では、「夏の流れ」から読み取れる深遠な人生観や哲学、そして作品に隠された比喩や象…