あそこはどこだったのだろう。空っ風が吹きすさぶ外階段の上、幼い私は誰かを待ちながら座っていた。 おかっぱ頭の髪の毛は、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔に張り付いていた。四歳のとき、母は突然いなくなった。 父は私を連れてしばらく仕事に出ていたが、親戚の勧めで再婚をした。 その後は、平凡な「家族ごっこ」の日々が続いた。 二十歳になったある日、なぜか明るい声で生母から連絡があった。 戸惑いはあったものの、会う段取りは母のペースで淡々と進んでいった。そして私たちが再会の場所に選んだのが――『六義園』だった。ちょうどツツジが見ごろで、庭園は鮮やかな色に満ちていた。 初めて訪れたその場所で、私は「なんて綺…