らした。しかも、千五百ルーブリの金を持っていた、――一たいそれでは金をどこから持って来たのだ?』と諸君はおっしゃるでしょう。けれど、千五百ルーブリだけ見つかって、あとの半分がどうしても見つからなかったという事実は、その金がぜんぜん別の金、――封筒にも何にも入ったことのない金かもしれぬ、ということを立証するではありませんか。すでに厳密な考究によって証明されている時間から計算しても、被告が女中たちのところから、すぐ官吏ペルホーチンのところへ走って行って、自分の家へもどこへも立ち寄らなかったし、その後も、しじゅう人中に立ちまじっていたことは、予審でも認められ、かつ証明されています。してみれば、被告が…