腰背部痛を有する人は極めて多く、平成 28 年国民生活基礎調査の自覚症状1)に関して男性では 1 位、女性では 2 位を占めており、日常のリハビリテーションにおいても遭遇する頻度の高い症状の 1 つである。腰背部痛は原因が明らかなものと、明らかでない非特異的腰痛に分類され、どちらもリハビリテーションの主要な対象である これまで痛みの発生源として注目されてきたのは主として脊柱の構造物(椎骨、椎間板、椎間関節、周囲の靭帯)であり、背部の軟部組織は非特異的腰痛の原因として提唱はされてきたものの胸腰筋膜は腰背部痛の発生部位としてほとんど注目されてこなかった2)。近年、胸腰筋膜が腰背部痛の発生部位として…