添乗員

添乗員に向いている人とはどんな人だろう。いろんな要素があるにしても少なくとも「人様の前に出て何か話すことに抵抗がない」というのは大切な要素である気がしている。実際わたしは前職で研修講師をしていたこともあり、人前で話すことに大きな抵抗感がない。添乗員はお客さまの前に立ち、ご挨拶や行程のご案内をしなくてはならず、人前に出て話すことに抵抗がある人はまずこの仕事は務まらないと思っている。そんな添乗員。さらに掘り下げてみると「人前で話すことに抵抗感がない」ばかりか「物事を大袈裟に語りがち」だともと考えている。添乗は基本自分ひとりで行い、仕事中は案外孤独なものである。添乗中に見聞きしたものはすべて自分だけ…

ある添乗員は言いました。「添乗員はお客さまからの拍手と笑いが大好物」はい、わたしが言いました。バス車内でのご挨拶や小話をした時に拍手や笑いが起きるたびにそのツアーは成功に近づいている気がするだ。やはり「笑い」や思わず拍手をしたくなる心理状態は気持ちを前向きにしてくれるエッセンスだと思う。それもこれも「楽しい旅の演出」のため。添乗員は（というかわたしは）お客さまの満足度を高めるために、常に笑いのネタや拍手をしたくなる心理を探求している。とある花火大会のツアーに添乗したときの話。その花火大会の運営係員のような方がお見えになって、花火大会の歴史や意義、花火があがるタイミングなどについてお話しをしてく…

バスツアーの添乗員にどのようなイメージをお持ちだろうか。とある添乗員派遣会社の面接に行った時に面接官から質問された。「これまで参加したツアーで印象に残っている添乗員はいますか？」正直、答えられなかった。特に意識をして添乗員に注目していなかったから。ツアーに参加するのは果物を狩ったり海鮮ビュッフェを楽しむのが目的であって、決して添乗員に会いに行っているわけではないから。答えに困って「以前、今日が添乗デビューという若い男性添乗員のことはよく覚えています」と薄っぺらい回答をしてしまった。けれど実際そんなものだろう。その派遣会社では見事、採用見送りとなった。くそー、見てろよ。それは置いておいて。添乗員…

「果物狩り」なんて素敵な響きでしょう。これからの行楽シーズンに向けて果物狩りへのアサインも増えてきたところ。8月まではさくらんぼ（今年は猛暑で出来が悪い）や桃狩りがメインだったけど、季節は移ろい9月から10月いっぱいは、いよいよシャインマスカットの季節がやってくる。 シャインマスカット この張りのある見た目、ジューシーで甘い果実、そしてなにより皮をむかずに食べることのできるフルーツのひとつ、シャインマスカット。とにかく果物は皮を剥くのが面倒と思っているわたしにとってはうってつけの果物である。嬉しい。かと言って、いくら果物狩り放題、食べ放題を謳っているツアーであっても添乗員が我先に狩って食べるわ…

添乗員になってよかったと思うことの一つ。毎週毎週いろんなところに旅に出ることができる。このことにつきる気がしている。わたしは元々国内外問わず暇さえあればアチコチ出かけていたし、JALカードのステータスほしさにマイル修行だってしてきた。とにかくじーっと留まっているのが苦手で、動きたい！巡りたい！そして自分が体験した感動や思いをだれかと共有したい！そんな性格のわたしにとって「添乗員」のお仕事はうってつけであった。「好きを仕事にする」ってこういうことなんだ、と感動すら覚えている。思い切って転職して本当に良かった。そんなわけで友人にも「今週はどこどこに行くよ」「今、どこどこの花火大会にきてるよ」などと…

ある添乗員は言いました。「バスツアー成功の秘訣は、ドライバーとの相性に全てかかっている」はい、わたしが言いました。相性が良ければツアーは半分以上成功したとも言えるし、悪ければ初っ端からそのツアーはうまくいかないも同然なのだ。 実は添乗員は、添乗するツアーの数日前に各立寄り先やホテル、バス会社に予約確認と称した打ち合わせ連絡を行っている。特にバス会社というのは、お客さまと最初から最後までお付き合いいただくツアーの大切な要素の一つとなり、さらに言うとドライバーがどんな方であるかによって、本当にツアーの行方が左右される。予約確認の段階ではドライバーのお名前と連絡先しか知ることができないためツアー当日…

お客様さまからの「ご不満の声」に対してどのように対処するか。それも添乗員の腕の見せ所のひとつである。わたしはツアー後にアンケートなどでグチグチ言われる「やり場のないご不満」に対してはあまり気にしないけど、その場で表明されるご不満に対してはしっかりと耳を傾けるようにしている。その場で声を挙げる勇気にまずは敬意を表したいのだ。中には頭の中にクエッションマークがいくつも浮かぶものもあるが、だいたいのご不満の表明が「なるほど、そうきたか」と思えるもので溢れている。とある山梨を巡るバスツアー。立ち寄り所である日本三奇橋の一つである猿橋を訪れたとき、とあるご夫妻（以後A夫妻）がわたしに声をかけてきた。「添…