1901年〜1997年4月7日 日本料理の名料亭「吉兆」の創業者。兵庫県神戸市出身。 1930年に大阪新町にて料理屋「吉兆」を創業。その後は政財界の有力者が多く訪れる高麗橋本店や京都嵐山店を次々と開店していった。また、1939年には法人化するなど、当時としては画期的な経営を行っていた。古き良き日本文化への造詣が深く、料理にも取り入れて日本料理の地位向上に貢献。その功績によって料理界から史上初めて文化功労者となった。
ふと思い立って湯木貞一『吉兆味ばなし』を検索したら、日本の古本屋で4巻セット2,500円が出ていたので、ポチった。 amazon.co.jp のページは以下の通り: 吉兆味ばなし 作者:湯木 貞一 暮しの手帖社 Amazon 吉兆味ばなし〈2〉 作者:湯木 貞一 暮しの手帖社 Amazon 吉兆味ばなし〈3〉 作者:湯木 貞一 暮しの手帖社 Amazon 吉兆味ばなし〈4〉 作者:湯木 貞一 暮しの手帖社 Amazon なんでポチったかというと、亡母が持っていた第1巻を読んでて、関西や地元の食習慣につながるところがあるよなあと思っていた。 古本を4巻セットで買ったので、通して読んでみて、ああそ…
『吉兆味ばなし』に、ごはんの話がある(旧版p.200): ご家庭のごはんは、だいたいかたいようですが、これはお子たち本意だからでしょう。ごはんは食事の土台ですから、あまりかたいごはんより、かたすぎず、やわらかすぎず、まちがったら、やわらかい方がいいと私は思います。(中略) お茶料理のごはんは、熱つ熱つのびちゃ飯に魅力があるのです。湯気のたつような熱つ熱つだったら、やわらかいご飯がよろしい。熱いあいだに食べるやわらかいごはんのうまみは、お米さえわるくなかったら、お菜がなくてもお漬ものだけでも、堪能(たんのう)するほどおいしいものです。 湯木貞一はごはん柔らか目が推しのようだ。 しかし私の見解は、…
関西に移住したとき、食習慣がいろいろ違って、驚いたり、首をかしげたりしたものだ。 最も驚いたのは恵方巻。平成初頭のことで、そんなもの郷里にも、それまで住んでいた東京にもなかったから。それが、いつの間にやら全国区の風習になってしまった。自分は絶対に食べない。 それで紅生姜の天ぷらだ。なんでこんなもんを作って売る?と思ったものだ。紅生姜の天ぷらってば、自分のイメージとしては関西の公設市場に入ってる惣菜屋さんが売るもの。 さて『吉兆味ばなし』に、こんな記述がある(旧版p.177): 昔は一戔揚げといって、おそうざい屋さんで、ごぼう、れんこん、さつまいも、紅しょうがなどを、ジャーッと揚げて売っていまし…
『吉兆味ばなし』を読んでたら、鮎の話が出てきた(旧版pp.82-85)。鮎については北大路魯山人もうるさいことを言ってたな。 まず魯山人の方は: www.aozora.gr.jp いわく、『鮎はまず三、四寸ものを塩焼きにして食うのが本手であろうが』云々。 湯木貞一の方は、まず氏が若い頃(石川県の)山中温泉で10センチくらいの鮎の塩焼きが美味しくて、「結局、十なん尾食べたでしょうか」。一方で昭和23年か24年、生野銀山の先の竹田というところで15センチぐらいの鮎を焼いたのを大皿に山盛りで出されて、 …はじめの四、五尾はもう味もなにも分らず、のどを通ってしまいましたが、さて、十尾となると、これはた…
揚げだし豆腐、関東と関西とでは違っている。つゆが違う。関東ではつゆに葛を引いてとろみを付ける。ところが関西ではとろみを付けない。サラサラとしたつゆ。なんでだ?と思っていた。 推測だが、そもそも関西には「あんかけ豆腐」というものがある。これのレシピが『吉兆味ばなし』第一巻に出ている(旧版pp.31-32)。これは湯豆腐に、葛を引いたつゆをかけるもの。 それが東京方面から揚げ出し豆腐なんてのがやってきた。しかし東京流でつゆに葛を引いたら、在来のあんかけ豆腐との違いがわからへんということではないだろうか。あくまでも推測です。 吉兆味ばなし 作者:湯木 貞一 暮しの手帖社 Amazon 新版 吉兆味ば…
こんにちは。 T・たまもです。 今日ご紹介する本は、エッセイ。 聞き書きなので、正しく言うとご本人が文章を書かれたわけではないのでしょうけれど。 湯木貞一「吉兆味ばなし一~四」暮しの手帖社 レシピ本とは一線を画す本です。 たしか、「美味しんぼ」の中で、山岡士郎が「俺のバイブル」と呼んでいた名著。 名著、です。 実を言うと、読み終わるのが惜しくて、一巻から足かけ2年。 家庭での料理のヒント、というコンセプトは変わらないのですが、巻が進むにつれ、だんだん話は深まっていきます。 四巻は「お茶事その他」ということで著者の修業時代の話やヨーロッパ視察、懐石料理の献立など、より精神性の強い話が多い。 でも…
元々メシはあんまり食べないところに、すっかり麦飯になじんでしまって(軽くて香ばしくていいもんですよ)、コメを買ったのは一年ぶりとなる。去年の今頃漬けた沢庵を取り出すのに合わせたのである。からくて堅くてクサいうちの沢庵漬には麦飯よりやっぱりぴかぴかの銀シャリが合う。 今回は宮﨑産ヒノヒカリ。無農薬の合鴨農法……というのは実はあまり気にしていなくて、それよりはざかけ・天日干しという点で選んだ。なにせ消費量が少ないから、長く味の変わらないことが大切。電気乾燥はすぐまずくなるように思う。もちろん玄米で買って炊くたびに精米する。 白飯にあうオカズを並べて鱈腹食ってやる!と意気込んで市場に行ったのですが、…
<番組紹介> 秋の味覚・栗(くり)を使った定番の人気ケーキ 「モンブラン」。 西洋の伝統菓子として始まり、昭和の日本にやって来て、 より美しく変化していった。 アルプス最高峰モンブランに見立てた形と、 和栗に徹底的にこだわった。 和食材との融合など、バリエーションは、さまざま。 はるか昔から 栗の食文化を大切に育んできた日本人の思いが加わり、 和製モンブランは、さらに美に磨きをかけ続けている。 <初回放送日:平成24(2012)年11月14日> <番組紹介> 美の壺1.そそり立つ造形にアルプスを見よ 「モンブラン」と「マロングラッセ」(ブールミッシュ・吉田菊次郎さん) アルプスへの様々な眼差し…
発刊した新潮社(2022/05/18)のサイト↓(目次あり) www.shinchosha.co.jp サイトの紹介文より↓ 料理に失敗なんて、ない――レストランで食べるものと家で食べるものとを区別し、家庭では簡素なものを食べればよい、という「一汁一菜」のスタイルを築いた料理研究家・土井善晴。フランス料理、日本料理の頂点で修業を積んだ後、父と同じ家庭料理研究の道を歩む人生、テレビでおなじみの笑顔にこめられた「人を幸せにする」料理への思い、ベストセラー『一汁一菜でよいという提案』に至るまでの道のりを綴る。 ◇いくつか引用してメモ p16)1957大阪生まれ、父・勝は1953年NHK放送開始からま…
本の買取強化中です。JR小倉駅北口「小倉の古本屋」古書城田(旧ブログです) JR小倉駅北口(新幹線口)の古本屋、古書城田です。北九州市内をはじめ福岡県内&近県、本の出張買取、本の遺品整理を行なっています。大量歓迎です。査定無料、出張費無料です。どうぞご相談くださいませ。 (買取専門)093-551-3009 メール:shirota@mx71.tiki.ne.jp 古物商許可証 [第32483号/福岡県公安委員会] 全国古書籍商連盟北九州古書組合所属 店舗はJR小倉駅北口、徒歩1分の場所にございます。ファミリーマート小倉駅北口店さんのすぐ裏手となります。ご来倉の折は、どうぞお気軽にお立ち寄りくだ…
一汁一菜でよいと至るまで土井善晴新潮新書2022年5月20日発行 YouTube で養老孟司さんが土井善晴さんとの対談をしていて、この本の話をしていた。私は料理が趣味なので、土井さんが出演されていたNHK「今日の料理」 は、若い頃は毎月テキストも買っていたし、毎日楽しみに見ていた。言ってみれば土井さんのファンだった。お父様、土井勝さんの時代も含めて。 そんな、土井さんの本。最近、忙しかったり、暑かったりして、まともな料理をしていないことを反省し、やっぱり、大好きな料理を見直そう、と思って買ってみた。 カバー表紙には、”料理に失敗なんて、ない。「一汁一菜でよい」という、家庭料理の斬新なスタイル。…
🅞 新入荷 🅞 ・ デザイン夜講 粟津潔 著 昭49 筑摩書房 ¥1,000 ・ 聖別された肉体 : オカルト人種論とナチズム 横山茂雄 著 1990 書肆風の薔薇 ¥3,000 ・ 百年戦争とリッシュモン大元帥 エチュヴェリー 著 ; 大谷暢順 訳 1991 河出書房新社 ¥3,000 ・ 夜と霧 : ドイツ強制収容所の体験記録 E.フランクル 著 ; 霜山徳爾 訳 1991 みすず書房 ¥1,000 ・ 思想 1991/8 特集=ハイデガー/ナチズム/デリダ 1991 岩波書店 ¥800 ・ スペイン文契約書 : 実務と法制的背景 改訂版 石井陽一著 1991 芸林書房 ¥10,000 ・…
『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』に続いての第三弾、強烈で贅沢な最新エッセイ集。雑誌掲載の書評や文庫解説、「ベスト3」選出企画、映画・美術館向けパンフや図録への寄稿など、2021年のものまで収録。数多のエンターテインメントを恩田陸と味わい尽くす――! ――いろいろな意味ですごい世界になったものだが、逆にリアル書店で過ごす時間、リアルに対面で読んだ本や観た映画について語り合う時間、酒を酌み交わしつつとりとめのない雑談をする時間のありがたみと幸せを、しみじみと感じてしまう。この本で、私のそんな雑談をひととき楽しんでいただければ幸甚である。(あとがきより抜粋) (出版社HPより) 恩田さんのエ…
第1巻 豆腐と水 「 究極のメニュー 」 の企画のため、豆腐と水で味見試験をした結果、 山岡と新入社員の栗田が担当職員として選ばれる。 ワインと豆腐は旅をさせるな・・・風味が落ちる 味で勝負! フォワ・グラ・トリュフェよりうまい、酒で洗って蒸した鮟鱇の肝、 既成の味に飽きたらず、新しい食文化を目指す。 寿司の心 一流寿司職人の握る寿司とは。 米粒と米粒の間に適当なすき間が合ってこそネタとシャリがうまく解け合う。 平凡の非凡 京極氏登場。 ご飯にみそ汁にイワシの丸干しのメニューでも、材料を吟味し、 食べる人の過去もわかっていれば素晴らしいごちそうになる。 料理人 の プライド 内臓より肉に重点…
一汁一菜でよいと至るまで(新潮新書) 作者:土井善晴 新潮社 Amazon 料理研究家、土井善晴先生の新刊。書名から推察されてるとおり、著者の自伝的な内容も含まれていて、土井勝の息子として生まれ育ち、国内外での修業を経て『一汁一菜でよいという提案』でさらに大きなブレイクに至るまでを振り返るような内容。フランスや、帰国後の味吉兆での修行時代を綴った部分は、本書にも名前が出てくる斉須政雄の本も思い起こさせる。もっとも文体の柔らかさが著者のテレビでのあのトーンなので『調理場という戦場』とはまったく違うのだけれども。 sekibang.hatenadiary.com だから「土井先生のことがもっと知り…