たしか父は左手の親指と人差し指が無かった。欠損していた。私が生まれたときから彼はその状態だったので不自然もなく私にとっては健常人であった。 先日母の姉である伯母が, ゆうちゃんは弱音こそ吐かなかったけど大変だったろうと思うよ。。と父の思い出話を始めた。父が8歳か9歳ぐらいのころ軍の管理のいい加減な武器倉庫らしきところで見つけてきた弾丸を家に持ち帰り、こたつに入っていじって遊んで爆発事故を起こしてしまった。運よく伯母と伯父が同じ場所にいたので彼をリヤカーに乗せて病院を探した。時は戦時中、病院など設備の十分な所はなく、ようやく見つけた外科医に麻酔薬もなしにペンチで指を切断された。破片が左目に入って…