一九九〇年代の話。大阪梅田の商店街に大きなペットショップがあった。今はもうそのお店はなくなっていると思う。犬や猫の他、爬虫類や猿などの種も売られていた。何度目かのペットブームだったのだろう。その過熱ぶりを象徴するかのように珍しいとされる動物が多数取り扱われていたように記憶する。そのような珍しい動物を飼いたいということではなく、当時は動物園に行くような感覚でそのお店に何度か行ったことがある。 そちらのお店とその周辺に立ちこめる匂いが凄かった。動物の匂いなのか、動物に与える食べ物のそれなのか、消毒するための薬品によるものなのか。それらすべてが混ざったものなのか、とにかく強い匂いがした。動物をゆっく…