我孫子武丸氏の作品を読んだ方はいらっしゃるだろうか。 私は初めて出会った著者で読了後、呆然としてしまった。 これほどの呆然は、しばらく味わったことがなかった。 ミステリーなのか探偵小説なのか。 そんなことより、ひきずりこまれるように先が知りたい作品だった。 キルケゴールの引用から始まる 作品の構成 登場人物 雅子 稔 樋口 乳房 家庭内の病理 最後に キルケゴールの引用から始まる キルケゴールはデンマークの哲学者でのちにカフカ、ハイデッガー、カミュなどに影響を与えている実存主義の哲学者だ。 あらゆるもののうち最もおそるべきこの病と悲惨をさらにおそるべきものたらしめる表現は、それが隠されていると…