春、桜の花見に出掛けた江戸の庶民は、 夏には蓮の花を見る「蓮見」(はすみ/はちすみ) を 楽しみました。 「蓮見」の名所として特に有名だったのは、 上野公園南西端にある周囲約2kmの池 「不忍池」(しのばずのいけ)です。 江戸時代後期に書かれた年中行事の紹介本 『東都歳事記』(とうとさいじき) には、 「不忍池は江戸一番の蓮池。葉は水面を覆い、 蓮蕚 (れんがく) は鮮やかで、 芳香は特に素晴らしい。 これを見ようと人々は 夜明け前からこの地に集まる。 このため、この辺りでは荷葉飯 (はすのはめし) を 商う店が多く名物になっていた」 とあります。 不忍池(しのばずのいけ) 東叡山寛永寺の創建…