ある旋律が頭の中に鳴り目が覚めた。まだ早朝だった。 その旋律には覚えがあった。しかし題名が分からなかった。今は便利なものでスマホ相手にそのメロディを口ずさめばたちどころに曲名が動画サイトの映像とともに出てくる。ははあなるほど、と思った。もう30年近く前だろうか、同僚が所属していた会社のオーケストラの演奏会を聴きに行く機会があった。その時の演目だったはずだ。また、CDもあったはずだった。 スマホに出てきた映像はヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルだった。チープなスマホの音でも圧倒された。これだったのか、確かに嫌いではなかったがずっと脳裏に埋まっていた音楽だった。探したがもうCDはなかっ…