新版大岡政談:林不忘 1926年(大15)10月~1928年(昭3)5月、大阪毎日新聞と東京日日新聞で連載。 1955年(昭30)同光社刊、上下2巻。 タイトルの「大岡政談」は古くから大岡越前守が関わった事件の数々を物語るものに冠せられてきた。この作品についても、大岡本人やその股肱たちも登場するが、あくまでも遠くから見守るという立場に終始している。 林不忘は伝奇小説の構想だったと思う。名匠の手になる大小の二刀、乾雲丸と坤龍丸を指南役の道場主が持っていたのだが、相馬藩の殿様が所有欲を抑えきれず、家臣の丹下左膳に密命を下したというのが発端になる。左膳は道場破りをして、主を惨殺し、乾雲丸を手に入れて…