小説家(1920年(大正9年)〜1995年(平成7年)) 青森市生まれ。 京都帝国大学卒業。 1948年(昭和23年) デビュー作『刺青殺人事件』が江戸川乱歩の推挙により「宝石選書」の1冊として出版され、日本探偵作家クラブ賞第2回長編賞の候補となる。1950年(昭和25年)『能面殺人事件』で第3回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)長編賞受賞。
先日の函館旅行で、人々を人力車に乗せて観光サービスをするお兄さんたちの会話を漏れ聞いた。 「・・・というわけで、7月は商売はあがったりだ」 と聞こえた。確かに往時よりは(特に中国からの)団体客が減っていて、インバウンドは個人客が中心。リピーターが多い傾向で、物珍しい何かには惹かれない傾向がある。それでも「あがったりというほどでもないのだろうに」と不思議に思っていた。謎が解けたのは、この記事を読んでのこと。 「7月に日本で大災害が起こる」「地震か、津波か…」――ネット上を騒がせる大災難の"予言"。もし外れたとしても、素直に喜べないワケ | 不安な時代、不機嫌な人々 | 東洋経済オンライン 函館ベ…
★ 『新青年』趣味25号の通販が始まりました。以下の場所で扱っています。 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。 ・書肆盛林堂 seirindousyobou.cart.fc2.com ・文生書院 www.bunsei.co.jp ・Amazon https://amzn.to/4k8sLqI ・日本の古本屋 www.bunsei.co.jp 『新青年』趣味25号 表紙 西山彰「高木彬光『白昼の死角』より」 特集「高木彬光没後30年 一九二五年の『新青年』」 Contents(A5判・330ページ) 父・高木彬光の生原稿 高木晶子 ノサカラボ インタビュー 演出家・野坂実/プロデューサー・あきや…
★『新青年』研究会の会誌『新青年』趣味 25号 特集「高木彬光没後30年 一九二五年の『新青年』」を、以下の予定で頒布いたします。 ・頒布予定 ・第40回 文学フリマ東京 期日 2025年5月11日(日) 時間 12:00~17:00 会場 東京ビッグサイト 南1・2ホール(下階) N-39 https://bunfree.net/event/tokyo40/ アクセス(文学フリマ東京/東京ビッグサイト) | 文学フリマ 頒価 2,500円 ※書肆 盛林堂、文生書院、アマゾン、日本の古本屋でも販売を予定しています。詳細はお待ち下さい。 『新青年』趣味25号 表紙 西山彰「高木彬光『白昼の死角』…
あばれ振袖:高木彬光 1955年(昭30)東京文芸社刊。正続2巻。 ひと言で言えば相馬中村藩のお家騒動をめぐる伝奇小説。藩主重胤が重病の床についたので、世継ぎ問題が表面化した。娘の琴絵姫に婿を取るか、弟の長十郎に譲るか、御落胤の柳太郎を探し出して呼び戻すか、の三案が考えられた。 最も説得性のあるのが御落胤なのだが、藩の江戸家老はそれを暗殺しようと試み、自分の息子を身代わりの御落胤に仕立てて御対面させようとする。柳太郎は身を守るために女装して目をくらませたり、叔父にあたる盗賊の蜘蛛六に助けられたりする。大目付の遠山景元やその影武者の神尾左近、岡っ引の彦三、女賊の稲妻お妙、悪役の剣客近藤一角など、…
悪霊の群:山田風太郎&高木彬光 1956年(昭31) 大日本雄弁会講談社刊。 これは珍しい山田風太郎と高木彬光の合作推理小説だった。作家が一人だけで書き上げるのとはかなり勝手が違ってくるので、感覚的にはもどかしい点もあっただろうと思う。登場人物の使い方の違いなども何となく想像しながら読むのも面白味があった。 推理作家にはそれぞれ「手持ち」の名探偵がいるのだが、山田風太郎の現代物の推理小説で活躍する荊木歓喜という酔いどれ医者もその一人なのを最近知ったばかりだ。ブログでお世話になっている「みずすまし亭」さんに簡潔にまとまった解説があった。 *山田風太郎の荊木歓喜シリーズ(みずすまし亭通信) ame…
犯罪蒐集狂:高木彬光 1955年(昭30)雑誌「小説倶楽部」に「顔のない女」を掲載。 1980年(昭55)桃源社刊。(ポピュラー・ブックス)全6篇。 犯罪蒐集狂:高木彬光、長尾みのる・画 表題作を含め、全6篇の短編集。『犯罪蒐集狂』は侠客を先祖に持つ探偵大前田英策ものの一つ。デパートの閉店間際に毎日やって来てスリッパを一足ずつ買っていく謎の男が、ある日その売場で射殺されるという事件。『顔のない女』は女探偵川島竜子が捜査警部を縦横に操りながら事件を解決する。彼女は若い身空ながら亡き夫の後を継いで探偵事務所を切り盛りするというスマートな女傑である。全体的に英米風のドライな語り口で、トリックも二ひね…
三尺の墓:高木彬光 1958年(昭33)東京文芸社刊。 1961年(昭36)12月、雑誌「小説倶楽部」臨時増刊号に「三尺の墓」のみ再掲載。 高木彬光の生み出した探偵のうち最も有名なのは神津恭介だが、別の私立探偵、大前田英策の活躍する作品も少なくない。大前田という苗字は江戸時代の上州(群馬)の有名な侠客、大前田英五郎に由来し、その子孫だという。(それ以上の詳細は控える) 表題作の「三尺の墓」の他に「二十五歳の赤ん坊」など5つの中短篇を収める。血筋を反映して人情に篤い大前田の個性を軽妙なタッチで描いている。広い意味での「身代わり」トリックが頻用されている。また凡人からすれば一見何事もなく結着したと…
白鬼屋敷:高木彬光 1958年(昭33)桃源社刊。 江戸の荒れ果てた屋敷に隠された海賊の財宝をめぐる伝奇小説。口入れ屋の津乃国屋に寄食する浪人神崎安兵衛は夜道で若い女を黒頭巾の男から救う。女の身元は不明のまま、その懐中に持っていた二枚の黄金銭が多くの勢力から狙われているのに気づく。商人に身をやつした大泥棒、悪知恵の旗本、幻術使いの美剣士、妖艶な女賊、八丁堀の与力など大勢が入り乱れる争奪戦となる。その相関図だけでもかなり入り組んでいた。からくり屋敷の仕掛けのネタは伝奇小説に頻繁に使われるが、大抵は抜け穴とか地下牢など月並みな効果しか出てこない。この作品では主人公の剣の腕前が優れてはいるものの、敵…
死神博士:高木彬光 1950年(昭25)5月~ 雑誌「少年少女譚海」連載。 1951年(昭26)偕成社刊。 高木彬光の生み出した名探偵神津恭介(かみつ・きょうすけ)の活躍する少年少女向けの探偵活劇。ある夜に大学病院の外科部長が謎の女によって拉致され、死んだばかりの人間の脳髄を蝋人形に移植するという手術を強要される。この最初の設定からもSFじみた悪魔的発想を感じさせる。これを発展させると死神博士の命令に絶対服従するロボット軍団のような蝋人形たちがうごめくはずなのだが、物語の途中からは薬品による生身の人間の精神コントロールへと手法が変化していく。少年少女たちの活躍も盛り込まれ、怪人の身代わりや変身…
悪魔の口笛:高木彬光 1952年(昭27)7月~1953年(昭28)7月、雑誌「少女世界」連載。 1960年(昭35)ポプラ社刊、少年探偵小説全集第4巻所収。 戦後創刊された少女向け雑誌「少女世界」に連載された。この時期は少年少女向けの読物の全盛時代であり、文豪も大衆作家も探偵作家もこぞって普通の作品の他に子供向けの物語を次々に書いていた。 高木彬光の生み出した名探偵神津恭介(かみつ・きょうすけ)がここでも活躍するが、謎解きよりも探偵活劇だった。離島に隠された海賊の秘宝の在りかを示す地図を追い求める謎の怪人Xの一味との抗争。その離島で育ったヒロインの少女は同居する叔母夫婦とともに危機にさらされ…