山を歩くのが好きだ。多分、犬も飼い主もそうだ。平日の山は人影が少なく、もちろん車も通らない。静けさの中で、自分たちだけが小さな小さな生き物として、道の上に存在しているような気持ちになる。ユクはといえば、あっちへクンクン、こっちへクンクンと、鼻先での仕事に忙しそうだ。山に入ると、ユクの目つきが少し野生に戻る。活き活きというか、らんらんというか、とにもかくにも輝いて見える。 らんらん。 北鎌倉の住宅街を歩いたとしても、人混みと言うほど混んでいるわけではない。だから街歩きの散歩も決して悪くはない。むしろ、適度に人がいて、適度に刺激がある。それはそれで大事なことだ。ただ、街の中よりも山の方が、どうにも…