1910〜1977 中国文学者・評論家。 長野県生まれ。東大卒。魯迅の研究・翻訳のほか、アジア的視座から近代日本文化を批判。 著書に「魯迅」「現代中国論」「日本イデオロギー」等。
東京帝国大学出身、戦前は中国文学研究会を結成、機関誌「中国文学月報」を発刊。復員後、魯迅などの近代文学の翻訳をてがけるかたわら、『国民文学論』などの文学論を発表し活躍した。特に日本文化の性格について吉本隆明と影響を相互に与えた。61年安保反対闘争後、都立大教授を辞職。著作に『魯迅』『不服従の遺産』など、全集あり。
今朝の毎日新聞に歴史家の藤原辰史さんの時評があります。「現代の奴隷」というタイトルに目が引かれました。 月刊・時論フォーラム:国際秩序の亀裂/現代の奴隷/安倍元首相国葬 | 毎日新聞 要約すると、「今の時代に奴隷なんているわけがない」と私たちの多くは思いがちですが、その認識は誤っています。昨年(2021年)の時点で、性奴隷を含め、強制的に労働させられている「現代の奴隷」は、全世界で2,800万人、強制的に結婚をさせられている人は2,200万人もいました。2016年時点と比べると1,000万人も増えているのです。強制労働をさせられている人のうち、86%は農業、建築業、家庭内労働などに従事し、(重…
魯迅。彼を知ったのは、中国から日本の医学専門学校へ留学したときのことだ。彼の眼の前で、中国人がひどい目にあっている。彼は医専をやめ帰国した。 戦前から魯迅を研究した竹内好は、『現代中国論』『魯迅』を執筆。 魯迅は、欧米諸国に植民地化されたアジアを考察する。 アジアは欧米先進国の近代化をどう取り入れたら可能か。 <続>
今週の大学院授業「中学校高等学校国語科授業づくり演習」はAさんの担当で、魯迅「故郷」の翻訳を比較して読むという内容だった。中学校の定番小説「故郷」は、竹内好訳が何十年も掲載されているということだった。しかし、佐藤春夫、井上紅梅訳もあり、4つの場面の翻訳を比べて読むという、私としては初めての経験だった。これがとても面白い。曇り空の表現も 「鉛色の空」(竹内訳) 「どんよりとした空」(佐藤訳) 「蒼黄いろい空」(井上訳) と、ずいぶんと違う。少年の頃のルントウの主人公の呼び方も、 「おまえ」(竹内訳) 「お前」(佐藤訳) 「あなた」(井上訳) となっている。日本語は目上、目下の意識から離れられない…
8時15分起床。最近はようやく冬らしく冷えこんできただけあって起きるのがしんどい。冷えこんできたといってもいまだに最高気温が10度を切ることはないので地元なんかよりはずっと暖かい。予報によると週末はまた最高気温が20度近くに達するようであるし、12月も間近であるという実感がぜんぜんおとずれない。これはこちらの勘違いかもしれないが、(…)にはじめてやってきた六、七年前にくらべて、冬が寒くなくなっている気がする。はじめてこの地をおとずれた年の冬の実感としては、京都とさほど変わらないというアレだったように記憶しているのだが、コロナ以降は冬は京都よりもずっと過ごしやすいという印象がある(夏は端的に地獄…
10時起床。第五食堂で炒面を打包。なんとなく書見したい気分だったので作文はお休みすることにし、まずはきのうづけの記事の続きを書いて投稿。ウェブ各所を巡回し、1年前と10年前の記事を読み返す。以下、2014年11月24日づけの記事より。こんなことがあったこと、すっかり失念していた。 客室から控え室にもどってくるなりBさんが、Mくんお客さんが救急車呼んでくれっていうてるよ、といった。冗談かと思ったが、こちらにかわってすでに電話機のまえに腰かけてどこかに電話をかけているEさんの姿があった。後ろからのぞきこむとたしかに119という番号が表示されていた。職場の名称と住所を告げるEさんにむけて、患者の容態…
一九七〇年、安徽省固鎮の張紅兵はわずか十六歳、当時の中国はまさに暗黒の文革時代だった。その年のある日、家庭内における文革についての議論の中で、母親の方忠謀は毛沢東の個人崇拝を批判した。張紅兵と父親がこの反革命思想を直ちに告発し、方忠謀は即日強制連行された。 張紅兵は覚えている。母親は連行されるとき、縄できつく縛られ、肩の関節がバリバリという音を立てた。二か月後、母親は反革命罪で銃殺されてしまった。 一九八〇年、すなわち文革終結の四年後に、方忠謀は名誉回復を果たした。当時の裁判所は、文革時の判決が「冤罪で破棄されるべき」と判断したのだ。 その後、張紅兵と父親はずっと、この許されない過ちに触れない…
人間って何ものなんや。 動物の中で、こんな動物がいるか。殺すこと、破壊することを目的とした戦争をつづける動物って、他にいるか。 ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル、アラブの戦争はニュースで現状を知るが、戦争を止める役割をもつ国連も無力、侵略はやりたい放題だ。今日は、スーダンの戦争が新聞に出ていた。 昨年、スーダンで国軍と準軍事組織「即応支援部隊RSF」が戦闘状態に入り、2万人が死亡とも15万人が死亡とも言われていて、死者数も定かではない。スーダンの人口は5千万人、国外に逃れた人は313万人、国内の避難民は110万人、世界最大の難民が出ているという。 かつて竹内好(1910年~1977年)という…
積んでます 今日は久しぶりに書店に行きました。 わりと久しぶりだったかもしれません。 街の本屋さん。すてきな雑貨屋さんの奥にあるすてきな本屋さんです。 100nennonidone.jimdosite.com 頼もう! と入り、入り口で「リミッター解除!」と宣言しました。 一緒にいた友だちが「いや、リミッターはあるよ?」と笑いました。 私は笑いませんでした。のっしのっしとお店を歩き回り、ふぁー! とかああああ とか声を立てました。 そこで買おうと決めていた本があり、また、行けばほしい本があり、「あ、これ買い忘れていたな」と気づく本あり、「この本、今日ここで買わないと忘れちゃうな」という本あり。…
〈民主〉と〈愛国〉―戦後日本のナショナリズムと公共性 作者:小熊 英二 新曜社 Amazon 『<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと公共性』小熊英二著を読む。 この本を書くきっかけについて作者はこう述べている。「考えてみれば『戦後』とは現代の人びとがもっとも知らない時代の一つである。なぜ知らないのかといえば『もうわかっている』と、安易に考えすぎているからだろう」。確かに、近すぎるものは、歳月が経たないと、なかなか評価が定まらないものである。 作者は膨大な資料から、「戦後の日本」「戦後民主主義」の再構築を試みている。文化人から市井の人までの、その引用が的を得ており、まるでドキュメンタリ…
さて、東京からトンボ返りの休日です。何もすることがないというか、何もしたくないというか、嵐の前の静けさというヤツでしょうか。今回の収穫は、スカイツリーを見ることもあったのですが、それよりむしろ、教科書図書館に無事、行くことができたので、まあまあ充実していました。小学校・中学校・高校と学んできた教科書に再び出会えました。それも驚きの連続とともに。 私はというとたぶん何かを考えて「理系」を選択し、高校・大学・大学院と学んで来たのでした。今ではその区分こそ意味のないものであることを知っていますが、当時は、かっこよく「理系」だと思っていたのでした。別に苦手教科はないと今も昔も思ってはいますが(ただ経済…
「かなしいかなストイックな人間に憧れるもののなれてはいないんだな。 憧れても仕方ないのか。頑張るしかないんだな。」 やそしま 24/10/17 10/11 夜 1週間生き抜きました。某模擬国連関連の課題をグループでやっているので、ある程度貢献しようとしています。今日学校から帰宅する前に消しカスを捨てて鞄を背負おうとした折、某嬢と某嬢と某嬢に止められて、某模擬国連の某課題についてのお話がありましたとさ。このお三方は仲が大変よろしいので、その中にぼく一人男がいるのは、存在するだけでも肩身が狭いので、仕事をしないとなおさらひどい思いをすることになります。 そんな状態で某課題を共同で行うという方針だけ…
焚書という野蛮な行為。今の時代なら、ウェブもまた、攻撃されるのだろう。が、見えない書物としての、和平へ向けての伝言は、できる。紙や、すれ違いザマの独り言などだ。あきらめるわけにはいかないのだ。 ※ふと想い出していた。「あきらめるんだ、あきらめきれないと」という言葉を。 ▲『孔子だってさ』(写真)長崎の平和像でも名高い西村西望氏の作品。もう1度、読み直したい。入門書からだが。 www.youtube.com▲来年公開予定の映画の予告だ。『激しい雨』のアレンジがいい。 そうして、久しぶりに聴いた、あの唄。 【勝てるわけもなし/今日も少しだけ】「今や経済構造から、代理戦争という名の戦争は、永久に続く…
人生を貫く問題意識の効用: 裕弁は銀・沈黙は金~堀裕嗣.com に竹内好と、 『文学の力×教材の力』 https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/book/book/cate5/cate509/index.html (教育出版 国語科のHPにあり。) についての話があります。 国語教育を考えるうえで重要な話です。 以上です。
2024年11月30日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,077点(セット版を除く)をあげた。文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら→ちくま学芸文庫M&S刊行書目一覧 最新版 - karumerabunkoのブログ 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄…
2024年11月30日時点での既刊及び刊行予定の講談社文芸文庫全1,319点(日本文学1,247点/海外文学72点、ワイド版を除く)をあげた。文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。編者、訳者は一部を除き割愛した。 阿川弘之『舷燈』 阿川弘之『青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集』 阿川弘之『鮎の宿』 阿川弘之『桃の宿』 阿川弘之『論語知らずの論語読み』 阿川弘之『森の宿』 阿川弘之『亡き母や』 阿部昭『単純な生活』 阿部昭『大いなる日/司令の休暇』 阿部昭『無縁の生活/人生の一日』 阿部昭『千年/あの夏』 阿部昭『父たちの肖像』 阿部昭『未成年/桃 阿部昭短篇選』 青柳瑞穂『ささやかな日…
同僚の講師から一冊の本を手渡されました。魯迅の『吶喊』です。1988年発行の人民文学出版社版。いまとなってはかえって斬新にさえ思える、いたってシンプルな装丁の薄い一冊です。もともと私の妻が持っていたもので、ずいぶん前に同僚の講師にお譲りしていたのですが、ちょっと調べ物があるので貸してほしいと妻に頼まれて、私が代理で受け取ったというわけ。この本を手に取ると、私自身もとても懐かしい気持ちに襲われます。会社勤めのかたわら中国語を学んでいたころ、まるで原語で読むのが義務でもあるかのような感じで、なかば競うようにして読んだものでした。いまからちょうど100年くらい前の文章で少しばかり古い語彙や言い回しは…