老人ホームで働いていると、「終末ケア」という言葉を頻繁に耳にします。多くの方にとって、終末ケアは「人生の最後を穏やかに迎えるためのケア」として理解されていると思います。 それは間違いではありません。しかし、介護士として日々その現場に立つ中で、私は時折問い直さずにはいられないのです。「終末ケアは誰のためのものなのか?」と。 私たち介護士は、日々多くの入居者様と接し、その人生の一部に触れています。誰もが異なる背景を持ち、それぞれの価値観や願い、そして不安を抱えています。 その中で、終末ケアをどう設計し、実行するかという問題は、介護職にとっても深く考えるべき課題です。 「ご本人のため」のケア 「終末…