「昔はよかったなぁ」 入居者様の口から、そんな言葉がふっとこぼれる場面に、私は何度も立ち会ってきました。 その言葉には、懐かしさも、切なさも、後悔も、優しさも、ぜんぶ混ざり合っています。 思い出というのは、本当に不思議なものです。人を温めてくれることもあれば、足を止めてしまうほど胸を締めつけることもある。 老人ホームで働いていると、過去というものがどれほど深く、どれほど強く、人の心に根を張っているのかを痛感します。 けれど同時に、思い出にとらわれすぎて、“今”の時間を苦しむ方もたくさん見てきました。 今日はそんな経験の中から、「思い出にとらわれすぎず、今を大切に生きる」というテーマで、ゆっくり…