技術者を志して工学部に入学した。しかし、卒業時は深刻な造船不況。そして私は、たまたま教員免許を持っていた。幸運だったのか、不運だったのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 呼ばれて校長室に入ると、教頭が一人ソファーに座っていた。促されて教頭の前のソファーに座った。これからこの学校で働こうかという私に対して、教頭は学校の概要を説明し始めた。二年前に新設されたこと、障害児教育の知識がなくともやる気さえあれば務まる事、若い教員に期待していることなどを話してくれた。そして最後、思わぬことを言われた。「手を見せてくれい」 『手?』教頭は私の手を取ると手のひらを眺めた。「ええ手をしとる。働き…