ユカリがいなくなって1週間が経とうとしていた。何の手掛かりもなかった。洋平は憔悴していった。 カヤさん 離れ 美術学校 松田家 美術学校 カヤさん 「洋平ぼっちゃま、田村は遠出をしているのですか」 カヤさんが心配そうな顔で近付いてきた。 「食卓に昨日の晩ご飯がそのまま残っていたんですよ。今朝の食事も手をつけてなくて」 カヤさんは、近所の家から食事を作りにやってきて片付けを終えたら家に帰る、という毎日だった。以前は雑用もこなしていたが、田村が住み込むようになってからは食事の用を終えるとすぐ自宅へ戻っていたようだ。田村が雑用を引き受けるようになったためだが、どうやら田村と話したくない、そんな感じが…