二 草加宿 (1)由来 地名としての文書初見は天正元年(1573年)のことで、戦国時代には成立していたことが窺えるが、表記は「草家」のほか「早加」(松尾芭蕉『おくのほそ道』)など揺れが見られた。語源については、元来は「ソガ」の転訛とする説があるが、そうだとすれば、古代豪族蘇我氏の地方所領に見られた「蘇我」「曾我」「宗我」などの地名と同系の可能性もある。 (2)開発史 徳川幕府開府初期の慶長八年(1603年)に幕府直轄領とされた。元来は湿地であったが、江戸時代最初期の関東代官頭となった伊奈忠次の計らいで草加の地に流れ着いた小田原の後北条氏遺臣を出自とする地元土豪の大川図書が幕府の許可を得て埋め立…