「空気」と「爆発」ほどでなくとも、「災害」と「虚報」の相性も、到底笑殺しきれない、頗る上等なものである。 天変地異で社会がみだれ、安全保障に揺らぎが生じ、大衆心理が不安へ不安へ傾きだすと、根も葉もない噂話がまるで梅雨時の黒カビみたく猛烈な勢で伝播する。過去幾度となく確認された現象だった。 (Wikipediaより、虚偽報道の風刺画) 大正十二年九月一日、関東大震災突発の時。たまたま何かの用向きで国の外へと赴いていた日本人の、実に多くが、この乱れ飛んだ虚報のために血の気を失い、顔色を紙より白くした。 くだんの早稲田大学教授、煙山専太郎なぞもまた、その一員に数え入れていいだろう。 この人は、ブカレ…