🌊【源氏物語 288 第12帖 須磨 22】出立の前夜に源氏は院のお墓へ謁するために北山へ向かった。お居間の御簾《みす》の前に源氏の座が設けられて、宮御自身でお話しになるのであった。 〜出立の前夜に源氏は院のお墓へ謁するために北山へ向かった。 明け方にかけて月の出るころであったから、 それまでの時間に源氏は入道の宮へお暇乞いに伺候した。 お居間の御簾《みす》の前に源氏の座が設けられて、 宮御自身でお話しになるのであった。 宮は東宮のことを限りもなく不安に思召す御様子である。 聡明な男女が熱を内に包んで別れの言葉をかわしたのであるが、 それには洗練された悲哀というようなものがあった。 昔に少しも…