1954年静岡市生まれ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、向田邦子氏、橋田壽賀子氏、山田洋次氏などのドラマ台本の小説化や翻訳などを手がけた後、作家活動に入る。 1996年『眩惑』でデビューし、2002年『あくじゃれ瓢六』で直木賞候補に。 2003年『其の一日』で吉川英治文学新人賞を受賞。 (『日経4946File』2007年5月号のプロフィール欄より転載)
末世炎上 (講談社文庫) 作者:諸田玲子 講談社 Amazon 粥をすすりゃあみんな仲間だ。 読みは「まっせえんじょう」。 音近(おとちか)、大内裏の警備をしている大志(だいさかん)。 火付けが横行している平安時代。何につけても末法。 藤原道長が没した1027年ですら、末法が始まってたんじゃ。 髪奈女(かみなめ)、着替えなんかない。てか、余分な衣服がそもそもない。 足るを知る者は富む。心豊かな髪奈女。 藤原則行、少志(しょうさかん)。噂好き。 尊仁(たかひと)親王、東宮。後冷泉天皇の異母弟。 貴族のクソガキどもにさらわれた髪奈女。 三晩通って餅を食べると夫婦に。 この当時の若者の妻を選ぶ条件。…
お鳥見女房(新潮文庫) 作者:諸田玲子 新潮社 Amazon 今宵の勝負、わたくしが預かります。 千客万来 御鳥見、鷹のえさになる鳥を探す役職。裏の仕事がありそうな。。? 女の手合わせ。 武家の子とは思えない源太夫のこども5人。 珠世のみごとな采配。 柘榴の絵馬 灸花(やいとばな)のような源太夫一家。くさいけど、きれいな花が咲く。珠世もなかなか言うねぇ。 柘榴の味、よく聞くけどほんと?神話的な感じ? 恋猫奔る 味噌と醤油はなくなったら買えばいい。一度むすばれたご縁はたいせつに。いい人よ、珠世。 ああ、三角関係。 雨小僧 しゃぼん玉売り。 雨漏り。 幽霊坂の女 鷹は生きてる獲物のほうが好き。 針…
★ 末國善己さんが、末國善己編『夫婦商売』(時代小説アンソロジー、角川文庫)の「解説」をお書きになりました。 ・『夫婦商売』、角川書店、2022年3月25日発行、本体640円+税 夫婦商売 時代小説アンソロジー (角川文庫) 作者:青山 文平,宇江佐 真理,澤田 瞳子,諸田 玲子,山本 一力,山本 兼一 KADOKAWA Amazon ・角川書店のHPも、ご覧ください。 www.kadokawa.co.jp
1.奸婦にあらず 奸婦にあらず (角川文庫) 作者:諸田 玲子 KADOKAWA Amazon 新田次郎文学賞受賞の傑作。村山たかを主人公・主な登場人物として描いた作品は 他にも徳永 真一郎さん著「影の大老」がありますが、私は諸田玲子さんが描く村山 たかのほうが好きですね。登場人物の描き方も本作のほうがより魅力的です。 井伊直弼を愛した日本初といわれる女スパイを描いた作品です。 2.明智左馬助の恋 明智左馬助の恋 作者:加藤 廣 日本経済新聞出版 Amazon 個人的には加藤廣さんの最高傑作だと考えております。あまり歴史上も着目されな い明智左馬助を主人公にし、妻との愛を描いた歴史小説傑作です…
秋月黒田藩の儒者、原古処の娘みちが、女だてらに活躍する痛快時代小説。 秋月黒田藩は本家である福岡黒田藩に首根っこを押さえられ、本家派の佞臣たちに藩を牛耳られている。本家からの独立の気概を持った嗣子は不審な死を遂げ、江戸に滞在する藩主は安否不明という有り様。 誠実な儒者であった原古処は冷遇されたまま亡くなり、嫡男は病で療養中だが、気概は衰えておらず、妹みちに男装させ、藩の危機を救うべく密命を与えるのだった。 みちは大柄な女性で、学問を好み、剣も達者で大酒飲みという女傑。弟になりすまして京へ江戸へと旅をしながら使命を果たそうとする。 あちこちに危機が待ち構え、敵か味方か分からぬような怪しい輩と同行…
第11回〜第20回の山本周五郎賞の受賞作・候補作の一覧です。 目次 第11回(1998年) 第12回(1999年) 第13回(2000年) 第14回(2001年) 第15回(2002年) 第16回(2003年) 第17回(2004年) 第18回(2005年) 第19回(2006年) 第20回(2007年) 第11回(1998年) 受賞:『血と骨』 梁石日 著 [新装版]血と骨(上) (幻冬舎文庫 や 3-26) 作者:梁 石日 幻冬舎 Amazon 《候補作》 『そは何者』 東郷隆 著 『鬱』 花村萬月 著 『しゃべれども しゃべれども』 佐藤多佳子 著 『ナイフ』 重松清 著 『BRAIN …
花の生涯(上)【電子書籍】[ 舟橋聖一 ]価格: 817 円楽天で詳細を見る 【あらすじ】 井伊家13代藩主直中が隠居後に生んだ14男の直弼は、300俵をあてがわれた部屋住みの身。自らを花の咲くことのない埋もれ木に例え、「埋木舎」と名付けた邸宅で無柳をかこっていた。三味線と男女の道はたか女という魅力ある女性から、学問は貧乏浪人の長野主膳から学び、時に水野忠邦の天保の改革を批判するなど、好き勝手なことを放言して暮していた。 ところが直弼の兄にあたる藩主の後継と、その後就任した藩主が立て続けに亡くなり、直弼に次期藩主の立場が転がり込んでくる。直弼は藩主に就くと、前藩主の遺命と称して15万両を士民に…
2024年1月から8月までに発表された主な文学賞の受賞者・受賞作品を順不同で以下に示しました。今秋以降に発表される文学賞も多くありますが、2024年前半の受賞作のラインナップとなります。受賞作のみならず候補作となった作品も何冊か読みましたが、すべて粒よりの作品群だと思います、読書の参考になりましたら幸いです。 ▼2024年(1月~8月発表分)文学賞一覧 ▲ ◆新人賞◆ ◆芥川賞 主催 文藝春秋 第170回(2023年下半期) 九段理江 「東京都同情塔」 候補作 安堂ホセ「迷彩色の男」、川野芽生「Blue」 、小砂川チト「猿の戴冠式」、三木三奈「アイスネルワイゼン」 〇選考委員: 小川洋子、奥泉…
「空海の風景」が載っている司馬遼太郎全集第39巻には巻末に司馬遼太郎作品では極めて珍しい戯曲2編の内のひとつ「鬼灯ー摂津守の叛乱」が載っている。 司馬さんの戯曲は今まで芝居を観たことも無いし読んだことも無かったが、興味を引く対象でもあり、何やら土地の縁もありそうで面白く読ませて貰った。 戦国時代に関心がある人には広く知られている織田信長の軍団長の一人・荒木村重を扱ったもので、この作品は文学座の依頼で書かれ、昭和50年(1975)に高橋悦史さん、杉村春子さん等により初演されたようである。 以前から荒木村重については非常に不可思議な人物として記憶にあるが、以下その経歴を司馬さんの『「鬼灯」創作ノー…
和泉式部日記―マンガ日本の古典 (6) 中公文庫 (中公文庫 S 14-6) 作者:いがらし ゆみこ 中央公論新社 Amazon いいわ生きてあげるわ、あなたとともに! 夫*1いるけど、弾正宮(だんじょうのみや)こと為尊(ためたか)親王*2との恋愛する和泉式部。 弾正宮が亡くなって一年。とっくに離縁されて実家からも勘当されてる。 帥宮(そちのみや)こと敦道(あつみち)親王*3は為尊親王の同腹の弟。 わたしってば何もしなくても浮き女って言われるのよねぇ。おいおい。 もちろん帥宮にも北の方いる。。 式部(26)、帥宮(23)。 道貞との間の娘は実家が引き取っている。 「声だけで満足なのですか?」強…
まさに目の前は猫だまり! みなさまこんばんは。 今週もまったりな週末を過ごしています、飼い主のじゃんです。 愛猫と一緒に猫小説を読んで、充実した週末です^^ ということで、今日読み終えたばかりの猫小説についてレビューしたいと思います♪ 猫時代小説傑作選の『ねこだまり』。 参加されている女性作家さんたち。 特に気に入った作品は、森川楓子さんの『おとき殺し』。 猫時代小説傑作選の『ねこだまり』。 猫さんが登場する小説と時代小説が好きなわたし。 本屋さんでいい本ないかなーと探していたときに見つけた『ねこだまり』。 名だたる女性作家さんの猫さんが登場する時代小説の短編集となっています。 少しずつ複数の…
図書館蔵書を「ラマダン」で検索して出てきた本。サンプラザ中野(現・サンプラザ中野くん / 63歳)が『半日ラマダン』というエッセイを書いているので、それで出ました。2002年に発表されたエッセーから日本エッセイスト・クラブが精選した66編をまとめた本。単行本は2003年7月文春刊。2006年文庫化。文春文庫なのですが、カバーが安野光雅なので、ちくま文庫のような印象を人に与えます。 books.bunshun.jp うらやましい人 (文春文庫. ベスト・エッセイ集 ; 2003年版) | NDLサーチ | 国立国会図書館 www.youtube.com 「うらやましい人」といえば「あこがれられた…
2024年1月から現在までに発表された主な文学賞の受賞者・受賞作品を順不同で以下に示しました。文学賞の発表時期は、春と秋に別れているようで、2024年前半の受賞作のラインナップとなります。 みなさまの読書の参考になりましたら幸いです。 ▼2024年(1月~5月発表分)文学賞一覧 ▲ ◆新人賞 ◆芥川賞 主催 文藝春秋第170回(2023年下半期)九段理江 「東京都同情塔」 候補作 安堂ホセ「迷彩色の男」、川野芽生「Blue」 、小砂川チト「猿の戴冠式」、三木三奈「アイスネルワイゼン」 〇選考委員: 小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一 ◆直木…
素行の悪い平安の貴公子たち 筆者の繁田信一(しげたしんいち)は1068年生まれの歴史学者。神奈川大学の日本常民文化研究所で特別研究員をされている方。 単行本版は2005年刊行。この時は副題として「平安朝裏源氏物語」が付されていた。 殴り合う貴族たち: 平安朝裏源氏物語 作者:繁田 信一 柏書房 Amazon 角川ソフィア文庫版は2008年に登場。現在セール中(2024/4/27現在)とあり、電子版であれば259円で買えるみたい。 殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫) 作者:繁田 信一 KADOKAWA Amazon 更に文春学藝ライブラリー版が2018年に刊行されている。 二度も文庫化される…
ここからは、徳川家康にまつわる人物や戦いの20選になります。 *Amazonより 【あらすじ】 東海の覇王、今川義元の治世下。山の峰が丸ごと吐いたかのような、月が美しく見える吐月峰(とげっぽう)。京の連歌師宗長が庵を築き、その後僧侶の宗物が世捨人の暮らしをしていたが、宗物はかくまっていた姉弟を世に出すために、義元の重臣関口親永に託す。親永は先年瀬名姫という娘を授かったこともあり、従者として預かることにした。 瀬名姫が成長すると、その美しさは今川家中でも評判となる。従兄弟で幼馴染みの、国主の嫡子今川氏真に嫁ぐとも噂されたが、氏真は北条家から正室を迎えることが決まる。ならばと家中から嫁入りの申出が…
日経新聞の連載小説は作家・辻原登さんの「陥穽 陸奥宗光の青春」が終わり作家・諸田玲子さんの「登山大名」が始まっている。 挿し絵 諸田さんは多作の歴史小説家であることはよく知っているがこれまでその作品は読んだことがなく、初めての出会いであり興味をもって毎日欠かさず読んでいる。 まだまだどのような成り行きになるのか読めないが、主人公は豊後国(ぶんごのくに・大分県)岡藩三代目・中川久清(なかがわひさきよ)で、「作者の言葉」を読むと、久清は九重連山のひとつ大船山を愛し何度も登山し山中に墓もあるとのことで、ここから話が膨らんで行くのだろうと想像している。 この小説のお蔭で過去の関連した史実など幾つかのこ…
「あなたに私を殺めるなどできるはずもない」 微かな笑みを浮かべてかすみは出て行った。まさに拈華微笑(ねんげみしょう)であった。 なみだあめ<哀愁> 時代小説傑作選 (PHP文芸文庫) 作者:宮部 みゆき,諸田 玲子,志川 節子,梓澤 要,馳月 基矢,高瀬 乃一 PHP研究所 Amazon えどめぐり <名所>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫) 作者:宮部 みゆき,朝井 まかて,田牧 大和,宮本 紀子,篠 綾子 PHP研究所 Amazon 承前 「いきなり何を云う…妹などと、狂ってしまったか」 かすみとて逃げ出すのを忘れていた。 「この護り袋が何よりの証。まぁ聞け、かすみ」 「かすみなどではない…