澤田瞳子さんの直木賞受賞作。画鬼と呼ばれた天才絵師・河鍋暁斎の娘・とよ(河鍋暁翠)が主人公。派手ではないが、とても良い作品だった。 ※以降、内容に触れるので未読の方はご注意ください。 星落ちて、なお (文春文庫) 作者:澤田 瞳子 文藝春秋 Amazon 明治二十二年、暁斎の葬儀の後の場面から物語は始まる。幼い頃から、娘というより弟子として暁斎と接してきたとよは、真面目なしっかりもの。絵師としての技術も確かだが、暁斎の身の回りの世話、病床に伏してからの看病、葬儀とその後の相続など気丈にこなし、家族や暁斎の弟子たちからも好かれ、信頼されている。 一方で兄の周三郎(河鍋暁雲)は、長男であるにも関わ…