大分県の山村で起きた駐在所爆破事件。だが現場では多数の警官たちが爆発のそのときをじっと待ち構えていた。 事件の発生 1952年(昭和27年)6月2日午前0時すぎ、熊本県阿蘇との県境に位置する大分県直入郡菅生(すごう)村(現在の竹田市菅生)で巡査の駐在所が爆破される事件が起きた。 爆破からほどなくして、警察隊は付近を徘徊していた日本共産党員2名を現行犯として逮捕し、その日の夕刊には犯人逮捕の場面をはっきりと収めた写真が大きく掲載された。さらに仲間の共産党シンパ3名と併せて5人が爆発物取締罰則違反等で起訴された。 占領下の旧警察法により、1948年から人口5000人を超える全国およそ1600の市町…